《著作権法に入る前に》
創作活動によって生まれた作品や発明などは、社会にそれらを提供してくれた人に、法律によって特別な権利を与え、それは独占的な権利であり、「他人に無断で利用されない権利」で、憲法第 29 条によって「財産権」として保護されています。家や土地の財産とは異なることから、形のない財産権、人間の「知」を守る財産権=知的財産権、あるいは無体財産権と呼ばれています。著作権もそれらの権利の仲間のひとつであることを知っておきましょう。
よく無断転載や無断の改変などについて「マナーが悪い」などといわれますが、この権利はマナーではなく「法律=ルール」であることが前提です。ルールであればはっきりしてもらいたいものですが、私たちの関心のある著作権については「裁判で争ってみないと判断がつかない」というトラブルや法改正も相次いでいます。
まずは、著作権を理解する前に仲間の権利である特許権や商標権などとの権利の違いをはっきりとしておきましょう。
ニュースなどでは「知的財産権」というと、アメリカ対中国との貿易の争いなどで耳にすることが多いのではないでしょうか。 国家と国家の間では、貿易による高度な科学情報やデジタル機器などの情報のやりとりでその特許権をパクッたとか、いや正当な行為だ等の主張のぶつかり合いなど複雑な様相を見せています。
特許権や実用新案権、あるいは意匠権、商標権と呼ばれる権利のそれぞれに法律=ルールがあります。簡単に理解するために事例を挙げておきます。
・特許権:発明を守る
・実用新案権: 考案(事務用品や家庭用品など)を守る
・意匠権:物品のデザイン(物の形)を守る
・商標権:営業や製品のマークを守る
これらはまとめて「産業財産権」と呼ぶこともあります。ほかにも植物の品種を守るための育苗法や半導体の回路を保護する法律、そして偽物の表示・販売や営業秘密を守る不正競争防止法などがあります。
これらの権利は、すべて権利を与えられた者が権利を「登録」して初めて法的に権利を主張することができます(不正競争防止法では登録制度はないものの、産業財産権の侵害については登録があってその権利が認められます)。
ところが、著作権だけはなんらの「登録」も必要としません。子どもの創作した絵画にも著作権は生じるということになります。国際的にも条約で「無方式主義」と決められており、なんらの登録の必要はないのです。
―アイディアか表現か?
料理のレシピを考えてみましょう。料理の方法自体はひとつのアイディアであって、それ自体は新規性と産業のために利用可能な発明(特許の条件にあう)として特許登録はできたとしても、著作権の保護は受けません。ただ、その料理方法を記載した料理の本として製作した場合は、その「表現」について著作権で保護を受けます。同じように、トリックや手品のネタ、スポーツのルールなども、それ自体では著作権の保護を受けません。しかし、ルールブックなどの著作物になると著作権の保護を受けることになります。
それでは、本題の著作権へ旅をしましょう。レッツゴー!!!!!!