《第1章 著作隣接権(財産権)》
💎著作隣接権(財産権)
著作物を伝達する役割を担っている実演家、レコード製作者、放送事業者にも、著作隣接権が認められ権利が守られている。著作隣接権は、著作権と同様に一部あるいは全部を譲渡・相続することが可能で、その場合は実演家ではなく譲渡・相続した人が権利者(著作隣接権者)となる。
・録音権・録画権(第91条):実演家の実演を無断で、録音録画されない権利。
・送信可能化権(第92条の2):実演家の実演を無断でインターネット上にアップロードされない権利。
・譲渡権(第95条の2):実演家の実演を収録したCDやDVDなどを無断で販売されない権利。しかし、一度許可を得て正しく販売されると、それ以降この権利は働かないため、中古CDの売買が可能となっている。
💎実演家の権利
①実演とは
著作権法では「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずることをいう。」と定義されている。つまり、脚本を演じたり、音楽を演奏したり、歌ったりすること。また、「これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。」とあり、脚本などの著作物を演じているわけではないが、芸能性が認められるものも実演に含まれる。例えば、サーカスや手品など。
②実演家とは
著作権法では「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。」と定義されている。つまり、ドラマや舞台に出演するタレントや、楽曲を歌うタレントのことを指す。 SixTONESをはじめとしたジャニーズ所属のタレントはここに含まれる。
③権利の内容
実演家の権利には【実演家人格権】と【著作隣接権(財産権)】の 2 つがある。
【実演家人格権】
実演家も、著作者が有する著作者人格権にあたる実演家人格権を有しており、著作者人格権と同様に、他人への譲渡・相続ができず、実演家の死後も一定期間保護される。著作人格権に比べ公表権が付与されていないのは、実演は公表が前提として行われることが多いためである。
・氏名表示権(第90条):実演家が実演を公表する時に実演家名を表示するかしないか、実名か変名かを決められる権利
・同一性保持権(第90条):実演家が自分の実演(名誉声望)を勝手に改変されない権利
参考:著作隣接権とは? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
💎レコード製作者と放送事業者の権利
レコード製作者と放送事業者も、実演家の持つ著作隣接権(財産権)と同様な内容の権利を持つ。